スペイン一家監禁事件

スペイン一家監禁事件

感想・レビュー

これは本当に映画なのか…?

原題:Secuestrados
2010/スペイン 上映時間85分

スタッフ
監督:ミゲル・アンヘラ・ビバス

キャスト
フェルナンド・カヨ
マニュエラ・ベレ
アナ・バジュネール
ギレルモ・バリエントス

[あらすじ]
働き盛りの夫ハイメと妻マルタ、娘イサは一家そろって郊外の新興住宅地へ移り住む。しかし引越しを終えた夜、覆面を被った3人の男たちが押し入り、金品強奪を企てる。繰り返される暴力になすすべもなく捕われの身となったハイメらは、過酷な一夜を送ることになる。(以上、映画.comより)

こちらが予告編↓

[評価]

■脚本:9
■演出:8
■キャスンティング:6
■この映画えらい度:5
■好き度:9
■期待値とのギャップ:5
■総合:8

72点

/100

2010年公開のスペイン映画。日本公開は2011年で、Amazonの「続・死ぬまでにこれは観ろ!」シリーズにも選ばれた実録犯罪ホラー映画。監督はミゲル・アンヘラ・ヴィヴァス。2010年オースチン・ファンタスティック・フェス 最優秀ホラー映画賞、2010年オースチン・ファンタスティック・フェス 最優秀ホラー監督賞を受賞した隠れた名作。

ヨーロッパでは10秒に一度発生しているという自宅への押し入り強盗事件。その数、年間で300万件。社会問題になっているこの事件を題材にしたのが

スペイン一家監禁事件。

スペイン一家2
冒頭、いきなり血まみれの男がビニール袋をかぶせられた姿で逃走している。この男、物語の最後と繋がるかと思いきや、全く関係はなかった。しかし一本の映画の中で、1家族以上の被害者が出ているということは事件数の多さを語っているのではないだろうか。

今回はブログタイトル、「血まみれゾンビに癒されて」の名に恥じない血みどろ作品の紹介です。ただ、残虐さで言えばすこし優しかったかな…という印象。。。

-ストーリー詳細(ネタバレなし)-

スペイン一家3

ここに出てくる家族はごく一般の家庭。夫は仕事に熱心で、妻はそれにうんざりもしている。郊外の立派な家に越してきたことで家族の結束、穏やかな時間を望む妻、つまり母とは反対にこれからの田舎暮らしを最悪だと嘆く娘。どこの国のどこの家でもみれるこの光景はなんの変哲もない、そういう意味では幸せな家族だった。そんな家族に突如惨劇が訪れる。窓を割り、強盗に入ってきた男三人。覆面をかぶり怒号を浴びせるその姿は一瞬にして日常を一変させるのだった。彼らは一見素人で、映画好きなら「すぐ倒せそう」とか思ってしまうぐらいの手際の悪さ。しかし、これが現実。夫一人と妻、娘だけでは太刀打ちできないのだった。やっぱり筋トレして、武術を学んでおかなけ…話が逸れました。
そんなこんなで単純に金品、目当てで入ってきた奴らは夫にATMで現金を降ろさせている間に、女たちを強姦するのだった。こういったサスペンス系作品ではありがちな展開。しかし、イマイチ恐怖感がなかったかなあと。たしかに無理やりやられてはいるのだが、男のおけつのせいか胸糞悪さそれほどでもなかった。(自分やばいやつじゃないです、あくまでレビューです。)外で助けを求めた夫は見捨てられ、家に彼氏がきちゃったりもする。次々と繰り広げられる残虐行為。暴力の館と化したマイホーム。極度の緊張状態が続く85分間、気がつくと息を潜めてしまっていることに驚くだろう。。。監禁、暴行、殺戮が行われる一夜、それぞれの運命は…

-驚異のカメラワーク-

スペイン一家8

この映画では画面2分割の珍しい編集がされている。家の中と外で同時進行で起こる強盗事件、逃げる娘と追う犯人。いろいろなところでつかわれる2分割映像は臨場感が増す作りになっている。

そして何より驚いたのが、ガラスによって隔てられた部屋の中と外を行き来するカメラワークだった。娘と母親が犯人たちの隙をついて逃げ出そうとするのだが、外には出られず、その一室に逃げ込むシーン。外では彼氏が囚われて、「出てこい!」「きゃー!!!」の繰り返し。この2局面を写すために使われたのがその驚きの技法。カット無しでガラスをすり抜けて室内外を行き来する。明らかに隙間のない部屋を、どのように撮影したらあんなに綺麗につながるのか。別に部屋を作ったのか?もともと繋がっていない部屋を後処理で完璧な部屋に見せているのか?どちらにしても、それほど予算の出ていないだろう本作にしてはお金がかかりすぎる気がする。それでは果たしてどうやったのか。
残念ながら答えは知りません。。。監督コメンタリーも無ければ資料もそれほど多くない。調べても出てこないので、モヤモヤは続きます。これを読んでしまったあなたも、一度見たら気になってしょうがない症候群。お気の毒さまです。。。

-スプラッター映画としては物足りないかも…-

スペイン一家6

この映画はもちろんフィクションなのだが、実際の社会問題が題材というだけあってある種ドキュメンタリー作品とも言える。だからストーリー展開や犯人グループのもたもた感なんかもリアルに描かれている。それがDVDラベルに記されたキャッチコピー「これは本当に映画なのか…?」ということなのだ。しかしリアルにすることで残虐さを映画レベル、つまりフィクションのレベルのグロさまでは引き上げてくれなかったというのがはじめに見たときの感想だった。「現実感」が伝わってくることで生じる恐ろしさや、気分の悪さはすごく詰まった映画だが、娯楽映画としての血しぶきは全くと言っていいほどなかった。馬鹿な大学生が湖畔の別荘でイカれた殺人鬼に殺される系爽快スプラッター映画では決してない。犯人グループに怯えるというよりも、ヨーロッパの現状自体に恐怖を感じる、そんな映画だった。

-感想・レビューまとめ-

全体的に効果的なカメラワーク、編集が見ていて飽きさせない。85分間一貫して緊張が続くのはスリラー映画としては傑作。DVDジャケットのスプラッター感に惹かれて見てみると少し違うと感じる可能性はあるものの、そこに描かれるリアルな現状に息を飲むこと必至。主役の女の子、アナ・バジュネールの叫びの演技、嗚咽の演技は見ていて圧巻。これからハリウッド作品にも是非出ていただきた名演技。ちょっとした伏線もしっかり回収するあたりもすごく好きな感じの作品でした。「最近見たおすすめ作品」として喋れば、多少映画通感が出る作品ではないかと思うので(?)興味がある方は是非!

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