『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』今を生き始めたスティーブ。トニーとの関係は?(ネタバレあり!)

キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー

感想・レビュー(ネタバレあり)

[評価]

■脚本:8
■演出:10
■キャスンティング:10
■この映画えらい度:9
■好き度:9
■期待値とのギャップ:9
■総合:9

92

/100

原題:Captain America: Civil War
2016年/アメリカ 上映時間148分

スタッフ
監督:アンソニー・ルッソジョー・ルッソ
製作:ケビン・ファイギ
製作総指揮:ルイス・デスポジートビクトリア・アロンソ

キャスト
クリス・エバンス:キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャース
ロバート・ダウニー・Jr.:アイアンマン/トニー・スターク
スカーレット・ヨハンソン:ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフ
セバスチャン・スタン:ウィンター・ソルジャー/バッキー・バーンズ
アンソニー・マッキー:ファルコン/サム・ウィルソン

[あらすじ]
マーベルコミック原作「キャプテン・アメリカ」シリーズの第3作。マーベルヒーローが集結した「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」後の物語となり、キャプテン・アメリカとアイアンマンという「アベンジャーズ」を代表する2人のヒーローの対立を描く。人類の平和を守るアベンジャーズは戦いは全世界へと広がるが、その人的・物的被害大きさから、アベンジャーズは国際的な政府組織の管理下に置かれ、無許可での活動を禁じられる。一般市民を危機にさらしてしまったことへの自責の念から、アイアンマンはその指示に従うが、「自らの行動は自らの責任で持つべき」という持論のキャプテン・アメリカは反発。2人の意見はすれ違い、一色触発の緊張感が高まっていく。キャプテン・アメリカ、アイアンマンらおなじみのアベンジャーズの面々に、アントマンやブラックパンサー、そしてスパイダーマンと新たなヒーローも続々参戦。(以上、映画.comより)

こちらが予告編↓

-コメント-


このレビューはネタバレを含みます、未見の方は避けた方が無難です。

「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」、シリーズの完結作としてふさわしい出来だったか?まさに完璧だった。途中、消化不良な部分は幾つかあったが、ラストの持ってき方はすごくよかった。キャップがキャップらしく、そしてトニーとの関係にしっかりと焦点を当てた最後。お互いのサイドキック(相棒)が負傷したことで立場的にはイーブンである一方、それぞれの想いも通ったのではないかという手紙笑み。キャプテン・アメリカの高潔さや、アイアンマンの傲慢さが悪で終わりかねない[シビル・ウォー]という原作を完結作に持ってくることの挑戦はすごく難しかったのではないかと思う。しかし、いちファンとして、興奮により感想が偏っている可能性は十分にあるが、少なくとも現状大好きな映画になったのは間違いない。二人はどちらも悪ではない。歩む道が違っただけで、この映画の最後にはしっかり「アッセンブル」しているのだと思う。そんなマーベル最新作「キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー」を己の私情を挟みまくりでレビュー、解説していこうと思う。

-ペギーを失い新たなスティーブへ-


 

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この作品でキャップことスティーブ・ロジャースは大きく変わった。かつてはもやし小僧だったひ弱な彼が、超人血清によってアメリカを守るキャプテン・アメリカになってはや70年。多くの友を失った彼に

残されたのはペギーだけだった。

前作で親友バッキーの生存を知るも、彼は変わり果ててしまっていた。そんな中スティーブを支え、正義を貫く大きな原因になっていたのが彼女なのだ。70年前のダンスの約束に囚われたスティーブは、他の誰とも交際しようとしない。これは決して悪いことではないのだ。彼をとらえてしまっている一方で、キャップが彼らしくいられることの大きな要因でもあるからだ。そんな彼女が、本作で安らかな眠りにつく。我々は今までスティーブの涙を見たことがあっただろうか。大事な会議中にきたメールを見るや否や、急いでその場を立ち去り目頭を押さえ、うなだれる。いつも気丈に振舞っている彼のそんな姿を見るのは辛いものがあった。こうして彼は世界で一番大切な人を失ったのだった。
しかし、今作で得たものもある。それは幼少期の思い出から、二次大戦の記憶までを共にした親友、バッキーである。ヒドラに洗脳され、一度はスティーブを殺そうとした彼もスティーブの必死の訴えに記憶を戻しつつあったのだが、ヒドラから完全に離れたことで全てを思い出していた。彼の母の名も、小さいスティーブが靴に新聞紙を詰めていたことも、ホットドッグを買うために電車賃をケチったことも。バッキーの存在はスティーブにとっては何にも代えがたい大切なものなのだ。

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最愛の人を失い、新たな恋に進んだスティーブ。あの瞬間を、狭い車内で見つめるバッキーとサム同様に「うんうん、よくやった」とニヤニヤしてみていたのは私だけではないはずだ。いや、全ての人が微笑ましく見守っていたはずだ。90歳の童貞だなんだと言われてきた彼の新たな恋、それは

彼が現代に生き始めた証でもあるのだ。

そして彼は属する場所も変わってきた。かつては軍人として上官の命令で戦地に赴いていた彼だったが、多くのヒドラ党員のいたシールド、また殺戮部隊になりかねないその組織に疑問を抱き崩壊させる。そうしてキャップは彼自身の正義を貫くためにシールドは勿論、ソコヴィア協定によって国連の組織化に入ろうとしていたアベンジャーズにも属さないことを決めるのだった。これはアイアンマンことトニースタークと対比すると非常に面白い構図となている。Avengers(2012)のヘリキャリア内でのトニー、スティーブの口論を見るとわかりやすい。かつてトニーは自分というものへの絶対的自信から、組織を嫌っていた。一方、氷の中から目覚めたばかりのスティーブは戦時中の記憶、経験から団結することを尊重し組織の一員になることを主張するのだった。かつては傲慢に「私がアイアンマンだ」と世界を救ってきたトニーはどこにも属していない、いわゆる自警団。国にスーツを引き渡せと言われても「これは私自身だ、売春行為は許されない」などと冗談交じりに断固拒否してきたのだった。そんな彼はアベンジャーズで自分の無力さを知る。宇宙からの侵略者を追い払い、勝利はしたものの、敵の強大さに圧倒されひたすらスーツを作り続ける異常行動に走るのだった。恋人ペッパーのために全てのスーツを廃棄するも彼の恐怖心は消えてなどいなかった。そうして「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」では世界平和のためと人工知能ウルトロンを開発、しかし暴走し世界を崩壊させようとする脅威になってしまった。「できることがあるのにやらずに人が傷つけば自分の責任だ」という強迫観念が世界を滅ぼし掛けたのだ。こうして自分の選択に迷いが生まれたことで、「ソコヴィア協定」に賛同する道を選ぶのだ。かつては個人主義の男だったトニーがついに、何かの支配下に入ることを選んだのだ。それは一種の責任転嫁であり、最悪「自分の意思ではない」という逃道をつくれるのだ。キャップはそれが許せないという。「助けを求める人のいるところに行かせてもらえなかったら?」と。トニーがかつて「兵器を作らない選択」をしたこと、その選択さえできなくなるんだぞ、と。つまり、この作品でスティーブとトニーの立場が逆転するというわけだ。キャップがかつてのトニーのような自警団に、そしてトニーがかつてのキャップのような兵士になったのだ。

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共に恋人を失ったスティーブとトニー。しかしかつてより強い信念を持っていたキャップと、自分の尻拭いからヒーローに“なってしまった”トニーとではその大きさが違ってしまったのだ。もちろん70年の思いを持ち続けていたキャップの恋の方が大恋愛ではあるが、その失恋を受け止めるだけの度量の大きさが違ってしまったということだ。トニーの取り柄はナルシシズムだろう。彼の自信が全てを成功に導いた。しかしかつての自信は感じられない。多くの惨事で自分を失ってしまったのだろうか。一方、スティーブはもやしの頃より変わらない。その証拠がこの1センテンス。

「I can do this all day」

このセリフはシリーズ一作目「キャプテン・アメリカ/ファーストアベンジャー」より血清を打たれる前の貧弱なスティーブが路地裏でいじめっ子に殴られるも立ち上がり『いいかげん諦めろ』と言われた時に放った言葉だ。このセリフだけで、キャップがキャップであり続けていることを示している。つまり、彼を取り巻く全てのことは変わってしまい、最愛の女性も無くしてしまったがそれでも「完璧でなくとも善良な人間」でいるという博士との70年来の約束は生きていて、彼自信の一番大切な部分は全く変わっていないのだ。その信念はどうやったって変わらない。

21世紀を生きる現代のスティーブに成長したが、彼の中のキャップは常に変わらない、高潔な男の姿だった。

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こうして迎えるラストはもちろんスティーブが悪者なんかでは終わらない。敵になってしまったトニーに手紙を送り和解の意を示すのだ。「信じた仲間はわたしを裏切らないでいてくれる」という一言は父であるハワードの死をスティーブの責任にしてしまったことへのトニーにとっての弁解になったのではないだろうか。トニーが歩み寄るチャンスを与えただけでなく、トニーの思いさえも受けてめているかのような一文であるその言葉は決して嫌味など何も感じられない。そして、別々の道を歩むことになった二人だったがそのことは相互理解にもつながるのではないか。先も述べたように、キャップがかつてのトニーのような自警団に、そしてトニーがかつてのキャップのような兵士になったのだから。だからこそ「いつでも呼んでくれ」と綴るキャップとそれを見て微笑むトニーがいるのだ。そして「保留の点滅を見てるのが楽しい」と言っていたトニーはまたしてもロス将軍の電話を保留にし相手を見下したような皮肉たっぷりの彼らしいユーモアを見せるのだった。「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」のように言葉によるアッセンブルはなかったが(ウルトロンでも実際にはないが)無言のうちに確実にチームが一つになったのかもしれない。少なくとも、アイアンマンはいつでもキャップの元に助けを求められるのだ。そしていつかきっと、キャップのシールドを手に「君の助けが必要なんだ」とスティーブの元に向かうのだろう。その瞬間を妄想するだけで泣けてくる。

かつてより争いによって団結してきた二人は、アベンジャーズを、そして世界をもまきこむシビルウォー(内戦)を勃発させたが、またこうして強く結ばれたのだ。

 

 

 






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