『荒野の1ドル銀貨』ビギナーの西部劇レビュー②

荒野の1ドル銀貨

感想・レビュー

 

[評価]


■脚本:6
■演出:8
■キャスンティング:10
■この映画えらい度:9
■好き度:4
■期待値とのギャップ:5
■総合:6

69

/100

 

原題:Un Dollaro Bucato
1965/イタリア・フランス合作 上映時間92分

スタッフ
監督:カルビン・J・パジェット
脚本:ジョルジオ・ステガーニ
撮影:トニー・ドライ
音楽:ジャンニ・フェリオ

キャスト
ジュリアーノ・ジェンマ:Gary O’Hara
アイダ・ガリ:Judy O’Hara
ピエール・クレソワ:McCory
ジュゼッペ・アドバッティ:Phil O’Hara
フランク・ファレル:Sheriff

[あらすじ]
一八六五年。南北戦争が終り、南軍捕虜は北軍から解放された。ここ、北軍駐屯所では、捕虜を釈放するとき、武勲にすぐれた兵士たちに、銃身のほとんどを切りとった、一ヤードそこそこしかとばない拳銃を渡した。その、解放された兵士たちの中に、拳銃さばきの名手ゲイリー(M・ウッド)とフィルの兄弟がいた。弟のフィルは一獲千金を夢見て、西部にでかけ、兄のゲイリーは、故郷のバージニアにいる妻ジュディ(E・スチュァート)のもとに帰った。別れぎわにフィルは、わが家の柱時計の中にかくした貯金をゲイリーに託した。数日後、妻に再会し、その無事を確かめたゲイリーは、弟の貯金から、一枚の一ドル銀貨をお守りとしてー胸のポケットに入れ、再びフィルの後を追って、西部に旅立った。(以上、映画.comより)

こちらが予告編↓

 

あらすじ詳細-ネタバレあり-


dollaro_bucato_montgomery_wood_giuliano_gemma_calvin_jackson_padget_giorgio_ferroni_008_jpg_wtcf

時は南北戦争の終結直後1865年。南軍兵士として従軍したゲイリーとフィルの兄弟は捕虜となっていたが、敗戦後北軍に解放されることとなった。その時、返却された銃の銃身は短く切られ1ヤードほどしか飛ばず、狙いも定まらないものになっていた。(ちなみにこのことをしっかり冒頭で描くことで、ラストへの伏線にもなっている素晴らしい作りの映画である。)
そんな拳銃に文句をつけた兄弟の拳銃裁きはピカイチで、北軍兵士をアッと言わせる。弟のフィルは職を求めて西部へ向かい、兄のゲイリーは妻の待つ故郷バージニアへと帰った。その際に、弟の全財産である貯金箱の鍵を兄に託したのだった。日は経ち妻に再会したゲイリーは弟の貯金から1ドル銀貨だけを「お守り」として胸のポケットに入れ、再びフィルを追って西部に向かった。そうして到着したのはイエローストーンという町、そこにはマッコリーという町をの顔がいて、彼に腕を買われたゲイリーは無法者の捕縛を依頼される。その無法者は”ブラッキー”。しかしいざ対峙してみると、その男は弟のフィルだった…!後ろ向きで声をかけられたフィルは、いつものように追っ手が来たと、振り向きざまに銃を放ってしまい、それと同時にマッコリーの一味がフィルを撃ち抜き二人は同じ床に倒れることとなってしまった。これが映画開始(分)、何かの間違いかと思ったその直後、胸に入れていた弟からの1ドル銀貨がゲイリーの命を救っていたことがわかるのだ!(胸熱!)奇跡的に一命を取り留めたゲイリーは、弟の仇を討つためにじっと殺意をこらえ、敵地に潜入するのだった。その一方で、マッコリーは町の保安官と手を組み、悪事を画策。夫を探し町に来たジュディをも人質にしてゲイリーを追い詰めるのだった。そんな状況にもかかわらずスマートなゲイリーはどこまでも一枚上手、手を組んだマッコリーと保安官アンダーソンの同士討ちを企むのだった。生き残ったのはゲイリーとマッコリーの二人となった物語ラスト。ジュディを盾にされたゲイリーは仕方なく腰の拳銃を相手に渡す。その拳銃でトドメを刺そうとするマッコリーだったが、それは北軍から渡された銃身の短い役立たずだったのだ。ゲイリーはマッコリーを追い詰め、苦しめられた村人に彼の処置を委ねた。こうしてゲイリーは妻を取り戻し、幸せな生活を送るのだった。

類を見ない無法者”ジュリアーノ・ジェンマ”


img_3
この映画を観て何よりも衝撃だったのは、無法者ゲイリー・オハラを演じるジュリアーノ・ジェンマ。私の知っている荒野のガンマンというのは男臭いゴリゴリの泥まみれ男だ。見た目からタフで、孤立した一匹狼、それが西部劇のヒーローのイメージだった。しかし、そんな印象とは正反対と言っても過言ではないのが、ジュリアーノ・ジェンマだ。どこか小綺麗でニヒルというよりはイケメンといった印象の彼は、アメリカのアメフト部員のような爽やかさである。妻がいるためか、そのかっこよさはなんというか…保守的?いい男というよりは、いい夫という肩書きが光るような、言ってしまえば「今風なかっこよさ」がとっても意外だった。ただ、それが「弱そうな印象」も与える。それが良かったのか悪かったのか。少なくとも当時の女性人気は高かったんじゃないかな、と思うのと、その弱々しさがより人間らしくて親近感がわくのも事実。未だ西部劇の映画は10本も観ていない私だが、明らかに異質なヒーロー、それを演じるのがジュリアーノ・ジェンマだった。

感想


blood-for-a-silver-dollar
傑作と言われ、今もおなお受け注がれるマカロニウエスタンにはそれだけの訳があるわけだが、この作品は上記のジュリアーノ・ジェンマというイーストウッド、フランコ・ネロに並ぶマカロニ3大スターの一人が、日本のスクリーンに初めて現れた記念すべき作品である。それだけでも十分な要素だが、「荒野の1ドル銀貨」が素晴らしいのは、ストーリー上の細かい演出だ。例えば冒頭で語られる銃身の短い役立たずな拳銃、これはしっかりラストへ生きてくる伏線になっているし、二人の拳銃の腕の良さも、兄の胸の銀貨にしっかり命中することのエビデンスである。腕が良いからこそ、心臓めがけて一発打ちこめる。そしてそれが幸い兄を生かすことになったのだ。うん、違和感は全くない。しかし、いくら腕が良いとはいえ、一人で5人も6人もを一掃できるわけはないのである。だからこそ、一旦はボッコボコにされるのだ。磔にされじっくりと策を練ってから、一人ずつ、”One by One”(一回使ってみたかっただけ、劇中のセリフではありません…)確実に倒していくのがすごくリアルで、またそれがこの映画の雰囲気にあっていてとても良かった。

南軍として戦争に負けてしまったオハラ兄弟。その二人の仕組まれた運命による死はなんとも切ない。しかし、妻帯者のゲイリーの優しい男らしさは今でこそ流行りそうな理想像。人間味あふれるこの作品は、他のマカロニウエスタンとは違い、心温まる瞬間が印象的だった。甘いマスクのジェンマの日本デビュー作。ただいま発売中の「マカロニウエスタン/傑作DVDコレクション」の第二弾に同封されています。マカロニウエスタンを極めるにはもってこいの時期というわけだ。これから2年間、隔週で2本ずつ傑作マカロニウエスタンを見てみてはいかがだろうか?






映画ランキングへ

マカロニ・ウェスタン傑作映画DVDコレクション 2016年 5/8号[分冊百科]
マカロニ・ウェスタン傑作映画DVDコレクション 2016年 5/8号[分冊百科]
61a0yTP0i-L
マカロニ・ウェスタン傑作映画DVDコレクション【創刊号】2016年4/24号[分冊百科]
荒野の1ドル銀貨 HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray
荒野の1ドル銀貨 HDリマスター スペシャル・エディション Blu-ray

You may also like

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。