『エクス・マキナ』すでにSienceでFictionじゃない?人類の未来とAI。

感想・レビュー

[評価]


■脚本:9
■演出:10
■キャスンティング:9
■この映画えらい度:9
■好き度:8
■期待値とのギャップ:6
■総合:8

84

/100

作品情報


原題:Ex Machina
2015/イギリス 上映時間:108分

スタッフ
監督:アレックス・ガーランド
製作:アンドリュー・マクドナルドアロン・ライヒ
製作総指揮:スコット・ルーディンイーライ・ブッシュ

キャスト
ドーナル・グリーソン:ケイレブ
アリシア・ビカンダー:エヴァ
オスカー・アイザック:ネイサン
ソノヤ・ミズノ:キョウコ

受賞歴
第88回 アカデミー賞(2016年)
第73回 ゴールデングローブ賞(2016年)

[あらすじ]
「28日後…」「わたしを離さないで」の脚本家として知られるアレックス・ガーランドが映画初監督を務め、美しい女性の姿をもった人工知能とプログラマーの心理戦を描いたSFスリラー。第88回アカデミー賞で脚本賞と視覚効果賞にノミネートされ、視覚効果賞を受賞した。世界最大手の検索エンジンで知られるブルーブック社でプログラマーとして働くケイレブは、滅多に人前に姿を現さない社長のネイサンが所有する山間の別荘に滞在するチャンスを得る。しかし、人里離れた別荘を訪ねてみると、そこで待っていたのは女性型ロボットのエヴァだった。ケイレブはそこで、エヴァに搭載されるという人工知能の不可思議な実験に協力することになるが……。「スター・ウォーズ フォースの覚醒」「レヴェナント 蘇えりし者」のドーナル・グリーソンが主人公ケイレブを演じ、「リリーのすべて」のアリシア・ビカンダーが美しい女性型ロボットのエヴァに扮した。グリーソンと同じく「スター・ウォーズ フォースの覚醒」に出演したオスカー・アイザックがネイサン役を務めている。(以上、映画.comより)

こちらが予告編↓

-コメント-


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2045、AIの世界へ

そんな話があるようで。人工知能が人類を凌駕する、そういう時代が2045年頃に来るのでは無いかと言われている。遠いようでもうすぐそだ。そうなってしまったら人間は今まで通りに生きていけるのだろうか。人間を超えた機械とは一体なんなのか。そのとき人類は歓喜するのだろうか。それとも絶望か。この映画が今まで通り「娯楽」として生きるのか、はたまた「何も知らなかった平和な時代の映画」になるのか。
もはやAIが”フィクション”ではなくなってきた今、こう言った映画を他人事では見れなくなってきている。劇中でも引用される『私は世界を滅ぼす死神を作った』というこの言葉が、もう一度引用されることの無いようにただただ祈るしか無い。

-レビュー-


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ヘリで向かうは山奥の別荘。草原に置き去りにされ「川に沿って歩け」と言われのは、会社の抽選で社長の別荘へと招待されたケイレブ。彼のいでたちは時々、スーパーソルジャー血清を打たれる前のスティーブ・ロジャースに見えることがある。モテない男、ひ弱な男という説明されないがきっとそうだろうキャラクターと、「良い男」であるということがすごく伝わる。
彼が到着したのは岩肌むき出しの地に建てられた、モダンすぎる家。ついに現れた社長はやたらムキムキ坊主の髭もじゃ男。ケイレブが天才の彼に告げられるは「AIのチューリングテストをして欲しい。」というものだった。
世界的偉業の中心に居られると、人工知能の創造は神の所業だと喜びをあらわにし一週間の滞在がスタートするのだが…

どうも中盤以降、そう単純な話ではないという怪しい雲行きになってゆく。窓のない部屋、毎日起こる停電、ネイサンの言葉の端々に感じられる挑発のような意思。それらの点と点が少しずつ疑問になり、「テストされているのは一体誰なのか?」と混乱する。良い奴で非モテ男のケイレブに「彼女が君をどう思っているのかが問題だ」とまるで、揺さぶっているような発言をネイサン、その後も「エヴァはファックできるぞ」と煽るのだった。そんなことを言われたケイレブはもうテストどころではない。好意をエヴァに見抜かれ動揺。ついには「今回は私があなたをテストする」と言われるのだった。何よりも面白いのはAIである彼女にケイレブの心の奥底、彼の本当の意識を呼び覚まさせることだ。彼自身が気付いていないことをエヴァは見抜きその答えに導く。
エヴァ:「好きな色は?」
ケイレブ:「青だ」
エヴァ:「嘘よ」
ケイレブ:「…え?じゃあ僕は何色が好きなんだ?」
エヴァ:「もう一度答えてみて」
ケイレブ:「わかった。”子供じゃないからもう好きな色はない”」
エヴァ:「よくなったわ」

さらに面白いのはエヴァの描いた絵だ。彼女は絵を描くがそれがなんの絵だかわからないという。きっとそれは誰にもわからない。というよりなんの絵でもないのだろう。劇中で出てくるポロックの絵もまさにそうだった。手の動くままにペンを動かした絵は、なぜその絵を描くのかを考えて描いたものではない。そしてそれを認知できたことが人間とAIの違いだとも言える。しかしでは、ケイレブに関してはどうだろう。一見、無意味に見える絵を見てアドバイスするのは「写生してみてはどうか?」というものだった。つまり人間の彼が示した答えは「描くものを考える行為」なぜその絵を描くのかを意識するものだった。行動をいちいち意識化する方が難しく、それはAIも人間も同じだというネイサンの論とは全く逆説的な内容になっている。つまり、無意識というものを人間らしさと定義する場合、この段階ですでに人間に対するAIは同等かそれ以上であることを示しているようだ、ということだ。

短い時間の中で起こるこうした小さな変化は、彼の中のアイデンティティを崩壊させてゆく。自分が本当に人間なのか、エヴァのような機械仕掛けの体が表皮の裏に隠れているんじゃないかと。目をひん剥き腹の下を探る。ついには腕をカミソリで切り確実に“中身”を確認するのだった。この時、観客も彼を信じられなくなる。それは序盤で彼が服を脱いだとき、背中に不思議な傷跡が見えたからだ。一瞬の出来事で何の説明もなかったこともあり途中までは忘れているのだが、彼が身体中を探り始めたときふと思い立つのだ。彼は人間かAIか。はたまたエヴァはただのAIかそれともそれ以上か。その真実は映画ラストで語られる??

-増えすぎた人口、自然の摂理はどこへ-


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明らかな人口増加、すでに住みづらささえ感じる地球の環境は壊され、動物は死んでゆく。理想の人口は5億人だという話をどこかで読んだ記憶もある。現在は75億人。2050年までに97億人に達すると予測されている。かねてより「食物連鎖」によってすべての生物の数は均衡を保ってきた。しかし人間はそれさえも崩してしまう。すでに「神の所業」を成し遂げているのかもしれない。地球を破壊し、滅亡への一途をたどる人間という生物の数を減らすのは誰か。少しスピリチュアルな話になるが、食物連鎖もクソも無くなってるあたりすでに「人知を超えてる」のかもしれない。もしくはこれから何らかの形で減少していくのか…それが天災ならば「神」はいるのかもしれないし、AIが担うのなら人間が「神」なのかもしれない。

AI。人間が生み出し得る技術。AIが完璧な「人工知能」になった時、それは人類の滅亡の始まりなのかもしれない。もし、我々が神とする存在が、人類より前に存在した生物のことを抽象的に捉えたものだとするならば、未来の我々もそうなれるのだろうか。いや、情報社会と化したこの地球で我々はもうすでに抽象的な存在にはなれないだろう。すべてがデータになり、未来の生物はそれらを見ることが可能。たとえ2000年の月日が流れても、我々は神ではなく愚かな猿人の最終系でしかなれないのだ。

多くの映画が「AIを作るのは危険」と示している。人は有名になりたい、儲けたい。作れる技術があって作られないものなどこの世に存在しない。それは核爆弾が示している。冒頭でも記したがオッペンハイマーは『私は世界を滅ぼす死神を作った』と語った。その言葉が、映画で描かれてきた描写が現実にならない保証はない。ある日突然、マッチョな裸族が我々をターミネイトしに来ないことをただただ祈るばかりだ。

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3 comments

  1. コメントしようと思えば、永遠に書き続けてしまうので、ここで割愛します。笑
    エクスマキナについてはちょっとではエピックでも書けるくらいに書いてしまいそうです。笑

    オススメ映画と言っても、かなりジャンルが違ってくるが
    Sing Street
    Mustang
    は今季一番の押しかな、
    特にMustang(裸足の季節)は一押しです。
    男性諸君にぜひ観てもらいたい一作ですね。

    1. コメントありがとう! どんどんコメントしてくれて構わないからね!とっても嬉しいし、助かるから。笑

      Sing Streetは傑作だよね!下書きにあるんだけど、半端なブログは投稿できなくて…笑
      『裸足の季節』か!ノーマークだったけど観てみるよ!

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