『きっと、星のせいじゃない』恋のお手本、二人の永遠をさがして

きっと、星のせいじゃない

感想・レビュー

[評価]


■脚本:10
■演出:10
■キャスンティング:10
■この映画えらい度:8
■好き度:8
■期待値とのギャップ:7
■総合:9

89

/100

作品情報

原題:The Fault in Our Stars
2014/アメリカ 上映時間126分

スタッフ
監督:ジョシュ・ブーン『ハッピーエンドが書けるまで』
製作:ウィク・ゴッドフリー、『セイフ・ヘイブン』マーティ・ボーウェン『セイフ・ヘイブン』
製作総指揮:ミシェル・インペラート・スタービルアイザック・クラウスナー
脚本:スコット・ノイスタッター『(500)日のサマー』、マイケル・H・ウェバー『(500)日のサマー』

キャスト
シャイリーン・ウッドリー:ヘイゼル・グレース・ランカスター
アンセル・エルゴート:オーガスタ・ウォーターズ
ローラ・ダーン:フラニー
ナット・ウルフ:アイザック
サム・トラメル:マイケル

[あらすじ]
不治の病にかかった若い男女の恋を描いた全米ベストセラー小説「さよならを待つふたりのために」(岩波書店刊)を、「ファミリー・ツリー」「ダイバージェント」のシャイリーン・ウッドリー主演で映画化し、全米で大ヒットを記録した青春映画。脚本を「(500)日のサマー」も手がけたスコット・ノイスタッター&マイケル・H・ウェバーが担当。末期のガン患者で酸素ボンベが手放せない少女ヘイゼルは、両親に言われて嫌々ながら参加したガン患者の集会で、片脚を切断して骨肉腫を克服した青年ガスと出会う。ガスは独自の感性をもったヘイゼルに恋をするが、ヘイゼルは相手を傷つけることを恐れて距離を置こうとする。しかし、大好きな作家の話題がきっかけで2人は距離を縮めていき、その作家に会うためオランダへ旅立つ。そして旅の最終日、ガスはヘイゼルに重大な事実を打ち明ける。(以上、映画.comより)

-コメント-


公開前からの前評判もさることながら、制作に『セイフ・ヘイブン』、脚本に『(500)日のサマー』のスタッフがいるこの作品がユーモアに溢れ、かつ泣ける映画であろうことはほぼほぼ保障されていた。監督の前作、「ハッピーエンドが書けるまで」と共通しているのは、”選ぶのが難しい人生のチョイスを賞賛する”ことにあったと思う本作は、観る人とそれぞれに新しい道を示してくれるはずだ。

ゴールはあくまで死。


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ガンを患った少年少女を主人公とした作品は数多くあれど、「きっと、星のせいじゃない」は異質。他とは違うことは冒頭のナレーションでも語られるのだが、この映画の着陸地点は初めから死にある。「主人公のヘイゼルの病は治るのか!?」なんていう、言ってしまえば夢物語ではない。つまり、この映画にいわゆる奇跡は存在しないのだ。ヘイゼルやガスが抱く希望は生きる事ではなく、少ない時間の中で見つける無限の時間。確かに、病もなく生きている10代と比べれば”不公平”ではあるものの、しかし彼らは決して”不幸”ではないのだ。彼女たちは自分が不幸だと嘆くこともできた。その方がよっぽど楽だったろう。しかし、ヘイゼルが求めていたのは自分が死んだ後の周りの平穏だった。「自分は時限爆弾だ、いつか来るその日のために被害は最小限にしなければ」と語る。
10代という若すぎる彼女たちは信じられないほど達観している。だれも恨んでない。怒り、誰かに当たる事もない。私たちが30年、40年かける成長をヘイゼルたちは10年少しで遂げた。1と2の間にある小さな無限を見つけ、我々以上に濃い人生を過ごしていたのではなか卯か。
だからこそ健気でつらい。自分の不幸を嘆くのではなく、周りの悲しみを和らげる事に精神を使う彼らを涙なしには見られない。

平凡、しかし刺さるセリフ達


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ガスを無視し続けるヘイゼル。自分のガンが一時的に悪化したことをきっかけに距離を取り始める。巻き込むのは悪い。迷惑かける、と自分の死で傷つく人を減らすための「優しさ」のつもりで避けていた。そんなある日、父がこう言うのだった。「ママとパパもそう話してたとこだ。もうウンザリ、お前を捨てようと思っていたトコだ。」と。もちろんこれは皮肉である本気じゃない。つまりは愛している人の事で、「面倒」になんてなるわけないだろ?ということを伝えたのだった。愛している相手ならば、そばにいさせてもらえないことこそが拷問。「人は傷つくことを避けられない、だけど、誰に傷つけられるかは選べる。」トロッコ問題からの解釈でそう話すガスの言葉はまさにこのことを象徴している。また、アムステルダムでのデートで絶品の料理を食べて「このリゾットを人間に変えられたら、ベガスで結婚する」とか、悲しい現実にん向き合っい、「不公平だよ」「この世は夢工場じゃない」「おれのことはしんぱいするな、なんとかして君に付きまとうから」と言う。

この作品では特にガスのセリフにグッとくるのだ。彼はヘイゼルの言葉、ヘイゼルの好きな本の引用、ヘイゼルの本当の願い(ウィッシュ)そういったものを全てちゃんと聞いていて、全て理解している。ガスの言葉の節々に宿るそのヘイゼルらしさが、彼女に対する愛をものすごく表しているのだ。そうして告げる彼の「君を愛してる」は決して唐突ではなく、必然だった。想いが募って、伝えてしまったのだ。これが愛かと思い知らされ、それと同時にこんな告白が一番なんだと、思い知らされた。そしてラストのガスからの手紙。あれはきっと添削などされてない。彼の言葉がそのまま彼女に伝わってるはずだ。いい作家はきっと、自分のエゴを介入させずとも、完璧な別れの言葉で、最高の愛の言葉だと分かったはずだ。内から込み上げる言葉ほどグッとくるものはない。そういった言葉が非常に冴えていた。

ヘイゼルと「大いなる痛み」


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ヘイゼルがヴァン・ホーテンに爆発したのは、単に彼の態度が気に食わなかったのではなく、彼女自身がヴァン・ホーテンの過去をなんとなく察していたからではないか。「彼は死を知っている、生きているのにね」と言っていた通り、 ヴァン・ホーテンは死を経験しているんだという推測が成り立つ。それはきっと身近な人の死。つまり、彼女の知りたかった「死んだあとの、その周りの人たちの心情」を知る、まさにその人物がヴァン・ホーテンだったのだろう。だからこそ、パジャマ姿で思いやりのかけらもないように思える彼を見て、自身の死後と重ね合わせ、絶望したんだと思うのだ。私が死んだ後、父や母もこんな人間になってしまうんだろうか。そういった不安から来る自分の無力さに怒りを覚え、彼に対して抑えようのない怒りを覚えたのだと思うのです。

「傷つくくらいなら、愛さない方がいい」、そんなわけはないのだ。「痛みを知るべき」で、もしどんなに辛い結末が待っていても、そこには二人の永遠がある。愛した人が側からいなくなるのは何よりも辛いだろう。しかし、記憶や思い出、その中で生きる故人の温かみは、それぞれの中でずっと生きてゆく。その永遠は「死」という苦しみを和らげてくれるかもしれない。「生きていれば傷つくこともあるけど、その相手は選べる」、いくら傷つけられても愛が残る相手を見つけたい限りだ。

-まとめ-

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素晴らしい原作が、映像と音楽でポテンシャルを最高潮に持っていく。原作の映画化というのは外れることが多分にあるが、本作はそういった作品の映画のあるべき姿だった。字面だけでは伝えきれないものを、様々なプロのイマジネーションによって映像化する完璧な映画だった。

内容もかみごたえがあり、どんな事でもいい、自分の死に意味があるといいな、ただ悲しんでもらうだけでなく、自分が死ぬ事でなにかが、だれかが変わればそれは最高に幸せだなとしみじみ思った。そして「好きなんだ」と言ってしまうのが必然である恋をしたいとも。





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